Project MP - 登山保険についてのトラブル
Project MPを開始しています。
MPとはMera Peakの略。
ネパールの標高6476mの山です。ここに今年の秋に登る計画。

既にツアーへの参加申し込みをしたのですが、この登山旅行の保険についてトラブル発生。

登山をする人にとって、悩ましいのが登山保険です。
国内のいわゆるハイキングであればその保険はそんなに大した費用はかからないのですが…

海外で、しかも氷河歩きなどアイスアックスやロープなどを使うトレッキングに参加しようとすると、かなり大変です。
クレジットカードなどでカバーされる旅行保険ではハイキングなどはOKですが上記のようなMountaineeringは含まれていません。
そのようなトレッキングをカバーしてくれる保険はあることはあるのですが、国内で探すとかなり高額になります。

それでも、その高額の保険に入れば、国内の旅行エージェントであれば、それでOKなのでしょうが…
僕らのように海外のエージェントが企画する山岳ツアーに参加する場合には、さらに厄介です。
海外の山岳ツアーに参加する場合には、そのエージェントから山岳保険に入っていることを求められるのですが、英語で書かれたドキュメント類を提示できないと理解してもらえないわけです。
もし事故が起きた場合に救援費用が現地のガイドやレスキューチームに保険でカバーされることを理解してもらうためにもそのような書類が必要なわけですが、そんなものが保険屋さんからもらえるのかどうか…
国内の旅行エージェントが企画するツアーであれば、いざというときには日本人のツアコンやスタッフが手配してくれるのでしょうけれど。

というわけで今までどうして来たかというと、参加する海外の山岳ガイド会社が紹介してくれたデンマークのihi Bupaという保険会社が提供する旅行保険に入っていました。
ここの保険会社の旅行保険はほとんどの危険な活動がカバーされるというのが売りだったのです。2009年から利用しているのですが、北極や南極のExpeditionやモータースポーツ以外はOKでした。
今回もここの保険を申し込もうと思ったのですが、念のため条件を見ていたら、何やら見慣れない記述を発見。

Mountaineering which requires specialized equipment, regardless of destination, is not covered.

こんな記述、前はなかったと思うのですが…。
早速、問い合わせたらやはり僕らが参加するような山岳ツアーはカバー範囲から除外されていることがわかりました。この記述は2012年から加えられたとか。そんなの知らなかった。もっと誰でもわかるように変更した事実を明らかにすべきで、こんな変更はフェアじゃないと抗議したのですが、にべもない。
つまり、僕らは3年間無保険で海外山岳登山をしていたということです。
この間、何も問題なかったからよかったようなものの…

しょうがないので、いつもお世話になっているフランスの山岳ガイド会社のガイド兼代表のマークに上記の事実をメールで書いて相談したら、彼もいろいろあたってくれて…

USのアルパインクラブ、USの旅行保険屋さんのTravelex、オーストリアのアルパインクラブなど。
結局、USのアルパインクラブはヘリコプターでのレスキュー費用が5000ドルまでという制限があるのでちょっと不安、TravelexはUS国籍を持っている人かUS居住者のみの適用ということでこれもダメ。オーストリアのアルパインクラブがよさそうなのがわかったのですが、ホームページがドイツ語でわけがわからない。

結局、すったもんだの末、オーストリア・アルパインクラブUKというオーストリア・アルパインクラブの英国支部(?)のホームページがあることがわかって、そこから入会手続きをすることができました。世界中のだれでも加入が可能な山岳クラブで、その会員になると海外登山でも保険が適用されるのです。
会員になると適用される保険のカバー範囲は標高6000m以内の登山なのですが、「山岳ツアーとして企画されたトレッキングで1日のみ6000mを超えるピークにアタックするような登山」は例外規定として含まれるので、今回のメラ・ピーク登山はOKです。

国内の登山旅行保険と比べるとその費用は破格の安さ。しかも登山旅行保険がその1回の旅行のみに対して有効なのにアルパインクラブの会員は1年間の会費を支払えば年間を通して有効。日本での登山にも適用されるのです。
当然その補償内容には差があるでしょうが救援費用が目的ならばこのアルパインクラブで十分だと思います。

実はこのことはあまりこんなところに書きたくなかったのです。
こんな安い費用で保険が適用されるのはこのクラブの会員の良識ある慎重な行動の賜物でしょう。もし、自分の実力に合わない危険な登山活動をする人たちが安易にこのクラブに入会するようになったら今のような会費ではとても済まなくなると思うからです。

従って、ここにはURLもその会費などについての情報も載せないことにします。
まあ、検索すれば容易にわかることですが…。
自分の体力や登山技術を十分に認識し、必要に応じて山岳ガイドと行動を共にするような慎重な登山活動をする方で、いざというときの保険に困っている方は検討してみてはいかがでしょうか?


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