今日はダイレクトドライブモータのメンテナンス、修理などについて。
まず、メンテナンスについてですが、基本的には何もしないのがよいと思います。(笑)
軸受け部のオイル、グリスの補給を心配される方もいるかと思いますが、メーカが出荷時に使用している以外のオイルを補給した場合、軸受けとの相性が悪いと最悪の場合軸受けの損傷の可能性があります。
スピンドルを軸受けから引き抜いてみてほとんどオイルがないように見えても、もし軸受けにオイルレスベアリング使用の場合には焼結多孔のベアリングの中に含まれているので、オイルの補充が必要ない場合もあります。
ビクターのTT-101、TT-81などにはこのオイルレスベアリングが使用されています。
GT-2000については重量級のターンテーブルに耐えられるように特殊なスラストベアリング(縦方向の加重を支えるベアリング)を使用していますので、分解することはまず避けたほうがいいと思います。
このスラストベアリングは流体動圧軸受け(Fluid Dynamic Bearing / FDB)と呼ばれるものでスラストに渦巻状の浅い溝を設けて回転時にはグリスを回転の中心に集めその圧力で加重を支えるため、ベアリングの磨耗を避けることができます。
この部分に使用しているグリスは特殊なもので、多くの実験を重ねて最適なものを採用しているので、やたらなものに換えた場合には焼きつきの原因になります。
ちなみにケンウッドのKP-1100やKP-9010にはラジアル側のベアリング(径方向を支えるベアリング)にこのFDBが用いられており、この場合には軸に精密な溝加工が施されています。
たぶんこのベアリングの場合もオイルの選択は慎重に行われているはずなので、出荷時使用以外のオイルに交換することは避けたほうがいいでしょう。
既にメーカでの修理は受け付けられていないと思いますので、何か問題があった場合にはどう対処すべきかは悩ましいところです。
webなどで探すと街の修理屋さんでダイレクトドライブモータの修理も請け負っているところがあるようですが、ベアリングの分解、オーバーホールについては避けたほうがいいと思われます。
メーカ指定のオイルやグリスなどを持っていればいいのですが、それを揃えるのはメーカ以外では困難です。
特にGT-2000やKP-1100/9010についてはベアリングの分解はやめるべきでしょう。
既にその時点で、軸受けが渋いとか焼きついているなどの症状がでている場合にはダメモトでやってみる価値はあると思いますが、軸受け自体に異常がなければ修理時には全く触れないようにしてもらうのが無難です。
メカ部分では軸と軸受けがターンテーブルの命なのはダイレクトドライブでもベルトドライブでも共通です。
このためレコードプレーヤで特に注意すべきことは引越しなど車で運ぶ必要がある場合には、必ずターンテーブルをはずして運ぶこと。
重いターンテーブルをつけたまま運ぶとタテ方向の衝撃が加わった場合にスラスト・ベアリングに損傷を与える危険があります。
トーンアームについても本当はケースからはずして運ぶのが理想なのでしょうが、それができない場合はせめてカートリッジやカウンターウェイトなどの重量物をはずして運びたい。
やはりトーンアームの軸受けへの衝撃加重を減らすためです。
(とここまで書いて冷や汗。そういえばこの前CruelさんちからGT-2000を運ぶ時はカートリッジもカウンターウェイトもつけたままだった。モータばかり気になってトーンアームをおろそかにしていました。モータ設計者のサガでしょうか?う〜ん)
GT-2000についての修理の情報はネット上で探しても見つからなかったので、状況はよくわかりません。
でも、この駆動制御回路は僕の設計した回路の中でも信頼性上の問題が少ないものだと思っています。
信頼性上よく問題になるのは可変抵抗の電気的接触が不安定になることによる動作点のずれですが、確かこの回路では制御部分に可変抵抗を1個使っているだけです。
この手の回路で今まで無調整のものは見たことがありませんので、たぶんこれは当時一番少なかったと思います。
今だったらマイクロコンピュータを使えば可変抵抗無しの回路も可能とは思いますが…
当時の駆動制御回路では数個、中には5個以上も可変抵抗を使っている例があると思います。
部品のばらつきに目を瞑って、性能的に妥協して可変抵抗を省略したのではなく、バラツキがあっても回路の工夫でそれが諸特性に影響を与えないようにすることでこれを実現したつもりです。
また、精度が要求される部分については経年変化の少ない部品を使用しています。
周波数電圧変換回路の時定数設定用のコンデンサの容量変化はPLLのロックハズレの原因になりますが、この部分は吸湿による容量変化のあるポリエステル・フィルムタイプではなく、高価ではありますがポリプロピレン・フィルムのものを使用しているなど信頼性についてはこだわってます。
モータの設計者としては今家庭で使われているGT-2000がこれからも末永く元気に働いてくれることをひたすら願っています。
まず、メンテナンスについてですが、基本的には何もしないのがよいと思います。(笑)
軸受け部のオイル、グリスの補給を心配される方もいるかと思いますが、メーカが出荷時に使用している以外のオイルを補給した場合、軸受けとの相性が悪いと最悪の場合軸受けの損傷の可能性があります。
スピンドルを軸受けから引き抜いてみてほとんどオイルがないように見えても、もし軸受けにオイルレスベアリング使用の場合には焼結多孔のベアリングの中に含まれているので、オイルの補充が必要ない場合もあります。
ビクターのTT-101、TT-81などにはこのオイルレスベアリングが使用されています。
GT-2000については重量級のターンテーブルに耐えられるように特殊なスラストベアリング(縦方向の加重を支えるベアリング)を使用していますので、分解することはまず避けたほうがいいと思います。
このスラストベアリングは流体動圧軸受け(Fluid Dynamic Bearing / FDB)と呼ばれるものでスラストに渦巻状の浅い溝を設けて回転時にはグリスを回転の中心に集めその圧力で加重を支えるため、ベアリングの磨耗を避けることができます。
この部分に使用しているグリスは特殊なもので、多くの実験を重ねて最適なものを採用しているので、やたらなものに換えた場合には焼きつきの原因になります。
ちなみにケンウッドのKP-1100やKP-9010にはラジアル側のベアリング(径方向を支えるベアリング)にこのFDBが用いられており、この場合には軸に精密な溝加工が施されています。
たぶんこのベアリングの場合もオイルの選択は慎重に行われているはずなので、出荷時使用以外のオイルに交換することは避けたほうがいいでしょう。
既にメーカでの修理は受け付けられていないと思いますので、何か問題があった場合にはどう対処すべきかは悩ましいところです。
webなどで探すと街の修理屋さんでダイレクトドライブモータの修理も請け負っているところがあるようですが、ベアリングの分解、オーバーホールについては避けたほうがいいと思われます。
メーカ指定のオイルやグリスなどを持っていればいいのですが、それを揃えるのはメーカ以外では困難です。
特にGT-2000やKP-1100/9010についてはベアリングの分解はやめるべきでしょう。
既にその時点で、軸受けが渋いとか焼きついているなどの症状がでている場合にはダメモトでやってみる価値はあると思いますが、軸受け自体に異常がなければ修理時には全く触れないようにしてもらうのが無難です。
メカ部分では軸と軸受けがターンテーブルの命なのはダイレクトドライブでもベルトドライブでも共通です。
このためレコードプレーヤで特に注意すべきことは引越しなど車で運ぶ必要がある場合には、必ずターンテーブルをはずして運ぶこと。
重いターンテーブルをつけたまま運ぶとタテ方向の衝撃が加わった場合にスラスト・ベアリングに損傷を与える危険があります。
トーンアームについても本当はケースからはずして運ぶのが理想なのでしょうが、それができない場合はせめてカートリッジやカウンターウェイトなどの重量物をはずして運びたい。
やはりトーンアームの軸受けへの衝撃加重を減らすためです。
(とここまで書いて冷や汗。そういえばこの前CruelさんちからGT-2000を運ぶ時はカートリッジもカウンターウェイトもつけたままだった。モータばかり気になってトーンアームをおろそかにしていました。モータ設計者のサガでしょうか?う〜ん)
GT-2000についての修理の情報はネット上で探しても見つからなかったので、状況はよくわかりません。
でも、この駆動制御回路は僕の設計した回路の中でも信頼性上の問題が少ないものだと思っています。
信頼性上よく問題になるのは可変抵抗の電気的接触が不安定になることによる動作点のずれですが、確かこの回路では制御部分に可変抵抗を1個使っているだけです。
この手の回路で今まで無調整のものは見たことがありませんので、たぶんこれは当時一番少なかったと思います。
今だったらマイクロコンピュータを使えば可変抵抗無しの回路も可能とは思いますが…
当時の駆動制御回路では数個、中には5個以上も可変抵抗を使っている例があると思います。
部品のばらつきに目を瞑って、性能的に妥協して可変抵抗を省略したのではなく、バラツキがあっても回路の工夫でそれが諸特性に影響を与えないようにすることでこれを実現したつもりです。
また、精度が要求される部分については経年変化の少ない部品を使用しています。
周波数電圧変換回路の時定数設定用のコンデンサの容量変化はPLLのロックハズレの原因になりますが、この部分は吸湿による容量変化のあるポリエステル・フィルムタイプではなく、高価ではありますがポリプロピレン・フィルムのものを使用しているなど信頼性についてはこだわってます。
モータの設計者としては今家庭で使われているGT-2000がこれからも末永く元気に働いてくれることをひたすら願っています。
コメント
私のヤマハGT2000が最近、回転が安定と言うより切り替わらない事が時々あります。電源が落としたとき、やり直したときは、どちらの回転数でも回るのですが………
メーカーにも部品が無いとの事で、自分でメンテナンスするしかないかなと思っております。コンデンサ等の簡単な交換なら経験はあるのですが、トーンアームは何度か自分で分解メンテナンスしております。まだまだ現役で使いたいものです。
K&K様、良い物を開発して頂きありがとうございます。
コメントありがとうございます。
コメントをいただいたことに気が付かなくてメチャクチャ遅レスになってしまいまして申し訳ありませんでした。
回転数の切り替えですが、ターンテーブルの右手前にあるクォーツロックのインジケーターで回転数がどちらになっているかの確認ができますが、回転数機切り替えスイッチのプッシュボタンで切り替えてもインジケータが切り替わらないということでしょうか?
そうだとすると切り替えスイッチの接触不良かロジック回路の問題のように思います。
電源を一度落とすと指定の回転になるということを考えるとロジック回路の問題の可能性が高いと考えられます。これはモーターの制御回路とは別に設けられた基板上にあり、これについては私にはよくわかりません。
サービスマニュアルがあれば不良個所の推定ができるかもしれませんが…
お役に立てなくてすみません。
アジアの鷹様のGT-2000が末永く働いてくれることを祈っています。