Grand Paradiso & Monte Rosa - Grand Paradiso Day 4-1
Grand Paradiso & Monte Rosa - Grand Paradiso Day 4-1
Grand Paradiso & Monte Rosa - Grand Paradiso Day 4-1
7月4日(木)、グラン・パラディソ・トレッキング4日目。

今日はいよいよグラン・パラディソ(4061m)に登る。
午前3時半起床。パンと紅茶などの簡単な食事を取って4時半出発。昨日預けた800ccのテルモスには紅茶が用意されている。
カミさんと僕は各自1リットルのVAAM入りの水と二人で一つのこのテルモスの紅茶を持つ。
やや少なめだけれど、僕らの水分の取り方だと今日の行動時間では経験上、このくらいで問題ないはず。

こちらでは6時近くにならないと陽が上がらないのでしばらくはヘッドランプ(マークはトーチライトと呼んでいた。正しい英語ではそうなのかも。)のお世話になる。
しばらく登った後、氷河に出るところでクランポンを付け、ロープで結ばれる。一昨日と同様、僕らの組はマーク、オディーレ、カミさん、僕、ジェラールの順。
ノエルとデジエもノエルが先頭でロープト・パーティを組む。
小屋からは多くのパーティが出発している。いったいどのくらいん人数が登っているのだろうか?
マークのペースはかなりゆったりとしているので、結構抜かされる。
でも、着実に高度を稼いでいる。1時間に一回くらいのドリンク休憩。僕らはそのたびにアーモンドチョコボールを1個づつ口に入れる。
今日は天気がいい。昨日見えなかった、トレセンタやチァルフォロンがよく見える。
雪面は柔らかくて潜るところもあり、あまり楽ではない。
シャブ―小屋からのルートと合流するところまで来ると頂上らしき岩場が見える。
下から見るとその岩場よりも右側にそそり立つ岩の塔の方が高く見えるのでカミさんはあの塔に登るのかマークに聞いていた。(笑)
あんな垂直の壁を登る技術は僕らにはない。

やがて斜面が急になり、ウォーキング・ポールをアイスアックスに持ち替える。
頂上へ向かう最後の尾根筋の途中でマークからバックパックをデポするようにとの指示。アイスアックスを持ちカメラをポケットに入れて持つ。
岩場の直前でアイスアックスもデポし、置いていく。
頂上へ向かう岩場は登る人と降りてくる人のすれ違いで大混雑。
ルートは非常に狭いし、両側が切り立った崖なのですれ違うのが大変。マークがバックパックをデポするよう指示したわけがわかった。
バックパックを背負った登山者もいるのだけれど、狭いのですれ違いのときに何かひっかけたら事故になりかねない。
マークがビレイのため先行。僕らは岩にへばりついて待っているのだが、下りてくる登山者も手掛かりがないので苦労している。時々手を貸してあげる。
やがて僕らが進む番。岩の上に立つと左右両方とも切り立った崖で、恐怖。クランポンを履いているのでガリガリいうのも気持ち悪い。
でも、とにかく必死なので恐怖を感じている暇もない。垂直の岩壁をわずかな足場を頼りにトラバース、その途中でビレイ用のカラビナを掛け替える時が最高に怖かった。
やっと白いマリア像が立つ頂上に到達。
混んでいるので写真を数枚撮ってからすぐに下り始める。
帰りの垂直の壁にへばりついて待っているときに、ジェラールが下を見てみろよと言うが、数100mはあろうかという垂直の壁なので、怖くて見れなかった。
岩に這いつくばりながらやっとの思いで尾根の稜線上の雪面に出る。下りはノエル、デジエ、ジェラール、僕、カミさん、オディーレ、マークの順。

グラン・パラディソ頂上の岩場がこんなに怖いところだとは全く予想外だった。
モンブランやカストールのナイフリッジだってこれほどまでの恐怖感はなかった。
後でマークに今まで生きてきた中で一番怖かったと言ったら笑っていたが…ホントにそう思った。
カミさんは、マークに急な雪の斜面や岩稜歩きに関して"Good progress"と言われてちょっと気を良くしていた。モンブランや昨年のモンテローザ・トレッキングの時と比べて安定感が向上したということらしい。

下りは陽が昇って暖かく気持ちはいいのだけれど、雪がさらに緩んで歩きにくい。僕の痛めた左足がちょっと気になるけれど我慢するしかない。
小屋に戻ってきたのは2時過ぎだったか。

続く…


最初の写真はグラン・パラディソへの登りの氷河を振り返って。
2枚目はグラン・パラディソ頂上のマリア像と…
3枚目もグラン・パラディソ頂上で。カミさんの座っている岩の向こう側は数100m(?)の垂直の壁で何もない。
頂上では時間もなく、ろくな写真がない。この高度感を表現できる写真を撮るのはちょっと無理。
Grand Paradiso & Monte Rosa - Grand Paradiso Day 3
Grand Paradiso & Monte Rosa - Grand Paradiso Day 3
7月3日(水)、グラン・パラディソ・トレッキング3日目。

今日は予定ではトレセンタ(Tresenta 3609m)に登る予定だったのだけれど、天気がよくないのでモントコルヴェのコルに行くことになった。
モントコルヴェのコルはトレセンタとチァルフォロン(Ciarforon 3640m)の中間にある峠。チァルフォロンの発音はこれで正しいのか自信がない。マークはフランス風にシャフロンと言っていたように思う。
ヴィットリオ・エマヌエレ・ハット側から見ると、グランパラディソの右隣の山がトレセンタでさらにその右隣がチァルフォロンになる。
トレセンタもチァルフォロンも今日はガスでよく見えない。

オディーレは昨日膝を少し痛めたようで、オディーレとジェラールの二人は小屋に残った。
明日がグランパラディソ登頂の本番なので大事をとったらしい。
というわけで、今日はガイドのマークと僕ら二人、ノエルとデジエの計5人のパーティ。

しばらく歩いた後、氷河に出て全員が一つのロープに繋がる。
氷河の川を右に渡る。下には川が流れているので、マークも慎重に道を選ぶ。
その後はひたすら氷河をダラダラと登る。
気温が高いせいか、雪面が柔らかいので時々足がズボズボ潜って歩きにくい。
ガスのため視界が悪く、周りの山が見えないのが残念。
最後に多少急な斜面を登ったところが峠。
やはりガスで何も見えない。

早々に引き揚げて小屋に戻る。
小屋で昼食。僕はまたパスタ。カミさんは持ってきたフランスパン。
マークたちはポレンタ。これはトウモロコシから作ったもの。
デジエが皆に赤ワインをふるまってくれた。
シャモニーでエメンタール・チーズを買って持ってきたのだけれど小屋で昼食を頼むことが多いのであまり減らない。

今日はシャワーを浴びて明日のグランパラディソに備えて下着を全部換えてさっぱりした。シャワールームは個室になっていて、お湯が十分使えるので気持ちいい。

カミさんは絵葉書を何枚か買ってカフェテリアで書き始める。
この小屋には郵便ポストがあるのでここで出すことができる。
でも、ここはイタリアなのでシャモニーで買った切手は使えない。
しょうがないのでイタリアの切手も購入。日本に送るのにいくらの切手を貼ればいいのか小屋のスタッフに聞いたら、彼らもすぐには分からなくてわざわざ郵便局に電話して調べてくれた。
日本からの客はかなり珍しいようだ。

この小屋にはネパーリ(ネパール人)のスタッフも働いている。
彼が一番の働き者のようで、夕食のときなどは一人で何皿も抱えてきびきびと給仕していた。
彼はイタリア語はもちろん英語もできるので、いったい何ヶ国語しゃべれるのと聞いたら、そんなでもないと言いながら、イタリア語、フランス語、英語、ネパール語、シェルパ語…とのこと。
6月から9月まではネパールはモンスーンのため観光客はほとんどいないのでこちらに出稼ぎに来ているらしい。
もちろん現地では登山のガイドをしているのだろうけれど、これだけの言葉を喋れればお客さんには重宝がられるだろう。
マークが全く笑わないカフェテリアの一人の女性スタッフのことや働き者のネパーリに対して男性スタッフの動きがやけに遅いことを話題にしていた。
笑わない女性スタッフはお願いしたことにはちゃんと応えてくれているので別に不親切ではないのだけれど、ちょっと愛想がない。
イタリア人にしてはちょっと珍しいタイプかも。マークにとっても珍しかったのだと思う。

シャブー小屋もこのヴィットリオ・エマヌエレ小屋もイタリアの小屋だけあって夕食のスターターはパスタかミネストローネ・スープのどちらかを選択できる。
僕らはいつもスープ。パスタも食べてみたいんだけどあの量ではメインが入らなくなっちゃう。
メインは今回は全て豚肉だった。ちなみに昨日はトンカツ。日本で食べるトンカツとはちょっと雰囲気が違ってまず量がものすごい。骨付きで300gはあるかと思われる。トンカツソースが欲しくなるけれど、ソースはかかっていない。でも塩コショウで味付けはしっかりしている。カミさんは小食なのだけれどトンカツも含めてほとんど毎日完食していた。
食後のデザートも選択可能。チョコレート・プリンなどのプリン系か洋ナシやパイナップルの缶詰などのフルーツ系、またはチーズ。僕らのグループはプリンを頼む人が多かった。僕の感覚では食後にチーズはちょっと重すぎるけれど、他のグループでは全員チーズというところもあって、そういうものなのかと再認識。

写真は最初がモントコルヴェのコルで。何も見えない。
2枚目は帰ってきてヴィットリオ・エマヌエレ小屋の前で。
Grand Paradiso & Monte Rosa - Grand Paradiso Day 2
Grand Paradiso & Monte Rosa - Grand Paradiso Day 2
Grand Paradiso & Monte Rosa - Grand Paradiso Day 2
7月2日(火)、グラン・パラディソ・トレッキング2日目。

シャブ―・ハットに泊った僕らはまだ暗いうちに出発。
今日は雪上歩きやロープワークの練習のため、まずスベルナ峠(標高約3360m)に向かう。
この峠の名前はちょっと面白い。後でマークに日本語で"スベルナ"というのは"Don’t slip."の意味だと言ったら笑っていた。
お昼には小屋に戻ってくるのでバックパックの中身は水や非常食などの必要最小限のものだけ。
しばらく歩いた後、氷河に出る。
そこからはロープを使うが、2つのパーティに分かれる。僕ら夫婦とジェラール、オディーレの夫婦はマークと共にひとつのロープに繋がれる。
先頭はもちろんマーク。次にオディーレ、カミさん、僕、ジェラールの順。
もう一つのロープト・パーティはノエルが先頭でデジエが2番手。

ひたすら氷河をだらだらと上って、どん詰まりの岩場を右から左に登ったところが峠らしい。
岩場の手前でドリンク休憩。ここでマークはロープをつなぎ換えて全員が長い一つのロープに繋がる。
ここからは急な登りになる。
ウォーキング・ポールからアイス・アックスに持ち換える。バックパックはデポして空身になり、ヘルメットをかぶる。
今度は2番手がカミさん。マークとの間のロープは20mくらいはあるだろうか、かなり長い。マークがまず一人で登ってカラビナのビレイ・ポイントを2か所作った後、さらに上で確保してから登ってこいとの指示。
3番手はオディーレで、以下僕、ジェラール、デジエ、ノエルの順。
ロープはビレイ・ポイントのカラビナに通される。
そのポイントを通過するときに固定されたカラビナを自分の前のロープから外して後ろのロープに掛け替える。

カミさんが最初のクレバスを直登で越えようとしてちょっと時間がかかった。右から巻いていけば難しくないのに…
最初のビレイ・ポイントのカラビナの掛け替えは問題なかったのだけれど、左前方に進むカミさんの前のロープが右前方の岩に引っ掛かってスタック。
ロープを揺するがなかなか外れない。
マークから右にトラバースしてロープを外すよう指示が出るのだけれど、カミさんの足元の右手はガレた不安定なところなのでうまく動けなくて苦労している。
かなり時間がかかったけれど結局、ジェラールが右から回ってロープを外してくれた。感謝。
カミさんももうちょっと前をよく見てないと…

そこから上はかなり急傾斜で左側は急な雪の斜面なので緊張を強いられる。峠の名前の通りここで滑ったら大変なことになる。
冷や汗をかきながらやっとの思いで登った所が峠の最上部。マークがアイス・アックスを深く差して確保している。
右側は崖。雪庇になっているようなので際までは行けない。

マークの話によると峠の直下に避難小屋があったのだが、今は雪で完全に埋まっているらしい。この雪の下が入口だと指さすが、まったくそんな気配がない。
埋まってしまったのはこの冬だということだ。
峠の下りは、行きとは逆にノエル、デジエ、ジェラール、僕、オディーレ、カミさんの順。帰りは順調に降りることができた。

小屋に戻ってからパスタの昼食。僕らは二人で一人分を分け合う。かなり量があるし、カミさんはあまり食べないのでこのくらいでちょうどいい。
午後はフットパスを通ってヴィットリオ・エマヌエレ・ハットへ向かう。ヴィットリオ・エマヌエレ・ハットの標高はシャブ―・ハットとほぼ同じで2700m位。
でも、もちろん途中アップダウンはあるし距離もかなりあるのでちょっと疲れた。
僕ら二人はみんなからだいぶ遅れてマークと一緒に到着。最後に少し雨に降られてゴアテックスを着たり脱いだりしたので余計に時間がかかった。
ヴィットリオ・エマヌエレ・ハットはかまぼこ型の屋根を持つきれいで大きな山小屋。

写真は最初がスベルナ・パスでの記念写真。左から僕、オディーレ、ジェラール、カミさん、ノエル、デジエ。マークが撮ってくれた。
2枚目もスベルナ・パスで。結構高度感があったのだけれど、写真ではいまいちその感じが出ない。カミさんの足元の雪の下に避難小屋が埋まっている?
3枚目は峠を降りたところで。


Grand Paradiso & Monte Rosa - Grand Paradiso Day 1
Grand Paradiso & Monte Rosa - Grand Paradiso Day 1
Grand Paradiso & Monte Rosa - Grand Paradiso Day 1
7月1日(月)、今日が5日間のGrand Paradiso Glacier Trekkingの初日。

マークが朝10時にホテルに迎えに来てくれる。
定刻ちょっと前に到着。

マークと再会を喜び合う。
今回のトレッキングのメンバーもすでに同行している。
僕ら以外の参加者は4人。全員がフランス人、男性3人女性一人。
ジェラールとオディーレの夫婦、70歳前後か。ノエルもそのくらいの歳か。
それとマークのいとこのデジエ、彼はちょっと若くて40代後半くらいではないかと思われる。
僕らも含めて平均年齢は結構高めのようだ。
でも、ジェラールとオディーレはキリマンジャロに登ったことがあるということだし、ノエルはモンブランにもネパールのアイランドピークにも登ったことがあるということなので健脚ぞろい。
マークのいとこのデジエはあまり高い山には登ったことがないようだけれど、スキーがうまいらしい。
マークにお土産の"岳"の文字が入ったTシャツを渡す。山で使える速乾性の生地であることを話したら、早速着てくれた。
シャツのサイズが小さいのではないかと心配したけれどむしろ少しゆとりがあるくらいでちょうどいい。よく似合っている。よかった。

マークのフォードのSUVとデジエのシトロエンに分乗して出発。
モンブラントンネルを通ってイタリア側に抜ける。
ここを通るのは初めて。10Km以上あるらしい。
トンネルを抜けてイタリア側から見るモンブランはフランス側から見える優しいお椀型の山とは違って険しい山肌を見せている。

車は細い谷を登ってポントというグランド・パラディソの登り口の駐車場に到着。ここでピクニック。
ここからしばらくだらだらと下った後、気持ちのいい樹林帯を通って今日の目的地のシャブー・ハットに向かう。

このトレッキングの予定コースは以下の通り。
実際には天候や雪面の状況で少し変更になったのだけれど。

Day 1 Free roundtrip shuttle from Geneva airport (limited number of places in the shuttle, contact us for further information).

Meeting point at Pont, 6,430 feet, in Gran Paradiso group (Val Savarenche valley), in front of the hotel "Gran Paradiso", by 1 p.m.. From Pont, the Haute Route begins with the descent of Val Savarenche till Pravieux mountain pasture (6,138 feet). There starts the nice footpath going up, through larch trees forests, to Chabod hut (9,022 feet), a typical Italian mountain hut.

Duration of walking: 3 hours and a half. Difference of level : 2,884 feet up, 292 feet down.

Day 2 With light backpacks (as we will come back to Chabod hut for pic-nic), following the footpath through old moraines, we go up till Montandayné glacier. Going up on the glacier till Sberna pass, 11,191 feet, we will study the main techniques used to walk with crampons on easy glaciers, and the safe way to walk for a roped party. Way down back to Chabod hut where we will have pic-nic. In the afternoon, we will follow Montcorvé footpath till Vittorio-Emanuele hut, 8,963 feet.

Duration of walking: 6 hours. Difference of level : 2,979 feet up, 3,038 feet down.

Day 3 From Vittorio-Emanuele hut, with light backpacks, we ascend Tresenta peak, 11,840 feet, superb wiewpoint on all Gran Paradiso range. Pic-nic on the summit. Way down back to Vittorio-Emanuele hut.

Duration of walking: 4 hours and a half. Difference of level : 2,877 feet up, 2,877 feet down.

Day 4 Ascent of the highest summit of the National Park, Gran Paradiso, 13,323 feet, with light backpacks, up on Gran Paradiso glacier. Way down back to Vittorio-Emanuele hut.

Duration of walking: 7 hours. Difference of level : 4,360 feet up, 4,360 feet down.

Day 5 We leave the hut at dawn, for the long crossing, dominated by Becca di Monciair and Cima di Broglio peaks, which leads to Grand Etret glacier. Easy descent on Grand Etret valley footpaths till Pont.

Duration of walking: 6 hours. Difference of level : 951 feet up, 3,484 feet down.

End of the course in Pont by the beginning of the afternoon.

写真は最初がモンブラントンネルを抜けたところから見えるモンブランをバックに。

2枚目はポントに向かう途中の石のアーチ状の橋をバックにマークと。
マークは"岳"のTシャツを着てくれている。

3枚目はポントから歩き始めてすぐのところで。オディーレが撮ってくれた。
Grand Paradiso & Monte Rosa - Chamonix Day 2
Grand Paradiso & Monte Rosa - Chamonix Day 2
6月30日(日)、今日は天気はよさそう。
シャモニーの街からモンブランがよく見える。

足慣らしと高度順応を兼ねてゴンドラリフトとケーブルカー(ロープウェイ)でブレヴァンの展望台に上がることにする。
ブレヴァンの展望台からは歩いて途中駅のプランプラまで下りようと思っていたのだけれど、チケット売り場のおばさんから雪のためブレヴァンから歩いて下りるのは難しいと言われた。クランポンはホテルに置いてきてしまったし、雪の上を歩いて下りるのでは道迷いの危険も増すので、計画変更してプランプラからシャモニーまでを歩いて下りることにした。

ゴンドラリフトでまずはプランプラへ。
その後、ケーブルカーに乗り換えてブレヴァンへ。
ブレヴァンへのお客さんは僕らと長身の若い男性二人。
最初は気が付かなかったのだけれど彼らは日本人だった。
ロープやヘルメットなどのクライミングの装備を持っている。
ブレヴァンから壁登りに行くらしい。
既に長くアルプスに滞在していたようで、2週間ほど前は雪でマッターホルンもモンテローザも登れる状態ではなかったことを教えてくれた。
僕らはどうなっちゃうんだろう。

モンブラン側は晴れているのにシャモニーの谷を挟んだブレヴァン側はガスが晴れない。ブレヴァンの展望台では北側の視界は素晴らしいのに南側のモンブラン方面の視界がガスでほとんど見えない。たまにモンブランが霧の晴れ間にちょっと顔をのぞかせる。

プランプラではちょうどモンブラン・マラソンをやっているところだった。
有名なツール・ドゥ・モンブランではなく、いくつかの距離別の山岳コースを走るマラソンらしい。
そのひとつがプランプラをゴールとするコースでちょうど最初のランナー(?)がゴールするところ。応援する観客も多く、実況のアナウンスもスピーカーから流れている。フランス語なのでさっぱりわからないけれど。
マラソン・コースの端を通ってシャモニーへの下山路を探すのだけれどちょっと道を間違えて大回りしてしまったようだ。
結局2時間くらいかかってシャモニーの街に下りた。

お昼は教会のそばのパン屋さんでサンドイッチを買って食べた。
明日からのトレッキングのための食料も調達。スーパーでリンゴ、チーズ屋さんでエメンタール・チーズを購入。それと先ほどのパン屋さんで買ったフランスパン。あとは日本から持ってきたアーモンド・チョコボール、オレオと大平原という一口ケーキにカミさんがブランデーをしみこませたものを行動食として用意した。
午後は明日のグラン・パラディソのための荷造り。グラン・パラディソに持っていくバックパックとホテルに置いていく荷物を仕分け。

夕食は昨日予約したl’Impossibleというイタリアンレストランへ。
途中道に迷って予約時間を少し遅刻してしまった。
でも、すごく愛想よく迎えてくれた。
コースで頼んだのだけれど、メインは子豚の脚のロースト。
ワインを頼みたいのだけれどアドバイスが欲しいと言ったら、応対してくれた女主人(たぶん)が娘が詳しいのでと言って呼んでくれた。
好みを聞かれたので、赤ワインで、フルボディで、高くないものと言ったら"パーフェクト"と反応がいい。
その後、あわてて小さいボトルでとお願いした。ハーフボトルのワインの量がいつもの僕らの定量。これ以上飲んだら明日の行動に支障が出るかもしれない。
持ってきてくれたワインの味はまったりしていてまさに僕の好み。シチリアのワインだとのことだった。
子豚の脚も初めてでちょっと恐る恐るだったけれどおいしかった。
いい気持になって黄昏の街をホテルに戻った。

写真は
最初がブレヴァンの展望台でモンブランをバックに。霧が少し晴れた瞬間をとらえて。
2枚目はイタリアン・レストラン、リンポッシブルで。豚足のメインディッシュ。
Grand Paradiso & Monte Rosa - Chamonix Day 1
Grand Paradiso & Monte Rosa - Chamonix Day 1
6月29日(土)、今日はシャモニーは小雨模様。

天気が悪いので今日はお買い物に充てることにする。
今日は土曜日なのでホテルの近くの広場では朝市が開かれているが、天気が悪いのでお客さんはまばら。
朝市でセントバーナードのぬいぐるみを見て大きい方を買うことにした。
カミさんは無駄遣いだと言ってちょっと不満そう。

スポーツ用品店を少しはしご。
結局、某大手スポーツ店で、二人の登山用ヘルメット、カミさんのトレイルラン用(トレーニング用)シューズとデイザックを購入。
登山用ヘルメットはマークのところでもタダで貸してくれるので買う必要はないのだけれど、自分の頭に合う軽いものが欲しかったのと日本で買うよりはかなり割安なので敢えて購入。僕らはロック・クライマーではないので日本ではほとんど使う機会はなさそう。飾りになってしまうかもしれないけれど…
かなり散財してしまった。ただまとめて買ったのでDuty Freeの手続きが可能になった。

夜はカジュアルなイタリアン・レストランへ。
僕はちょっと注文を間違えて大きな牛のリブ・ステーキを頼んでしまった。
でも、これはうまかった。
山を下りてきたらまた食べたい。

写真は購入したヘルメット。
日本人の頭の形には合わない場合があるのでいろいろかぶって試して決めた。
セントバーナードのぬいぐるみはこのBlogの写真に採用(^^;)
Grand Paradiso & Monte Rosa - Chamonix Day 0
6月28日(金)、成田出発。
今回僕らが使った航空会社はアエロフロート。

理由は一番安かったから。
僕にとってもカミさんにとってもアエロフロートは初めてだったし、モスクワ経由ももちろん初めて。

飛行機はツボレフとかスホイ何とかかと心配したけれどこれは予約の時に西側(もはや死語か?)テクノロジーのエアバスだということが確認できたので、まずは大丈夫だろうということで…

食事は僕が出張で使っていた頃(もう10年以上前だろうか)の日本の航空会社よりましな気がする。変な蕎麦もどきのようなものを食べさせられるよりはいい。
ただ、普通の航空会社では最初飲み物が配られた後、食事が配られるときにも飲み物のサービスがあるのに対し、アエロフロートでは食事の時の飲み物サービスは無し。
食事の時にワインを頼もうと思っていたら肩透かしを食わされた。
途中アイスクリームのサービスがあったのはうれしかった。

日本語アナウンスのへんてこなアクセントには苦笑させられるけどこれはご愛嬌。
モスクワでタラップを使って降ろされたのはちょっとびっくりしたけれど…
カトマンズみたい…
アエロフロートのパイロットはロシア空軍あがりの人が多いのでその飛行技術は信頼がおけると聞いたことがあるような気がするけれど気のせいか着陸などは全く安定していて安心感のあるものだった。

モスクワでの乗り換え時間がそんなに長くなかったので預けた荷物の積み残しを心配したけれど、無事ジュネーヴで受け取ることができた。
ジュネーヴ到着は現地時間午後9時過ぎ。
ジュネーブ行の便は日本人は僕らだけみたいだった。

昨年はジュネーブ・エアポートで予約していたAlpy Busのドライバーが捕まらなくて大変な思いをしたのだけれど今回は空港内にAlpy Busの小さなカウンターができていてすぐにコンタクトできたのでほっとした。
今回僕は初めてヨーロッパで使える携帯というかスマートフォンを持って行った。Alpy Busのお姉さんに頼んで僕の携帯に電話してもらって電話が機能することを確認。問題なし。

シャモニーのホテル・デラルヴェに着いたのは11時過ぎ。
疲れた。でも無事に着いてよかった。

写真はモスクワのシェレメーチエヴォ国際空港で。
タラップで降ろされた。この空港の名前いまだに覚えられない。
Grand Paradiso & Monte Rosa
6月28日に成田を出発して、昨日7月13日に戻ってきました。

今回はイタリアのグランパラディソの氷河トレッキングとスイス領のモンテローザ、デュフール・スピッツェの登頂を目標とする旅行でした。

少々疲れましたが、僕は昨年のモンテローザの時のような山を下りてからの不調もなくいたって元気、カミさんに関しては昨年同様元気そのもので楽しい旅ができました。無事に帰ってこられたことを感謝しています。

心配していた僕の左足首は不整地の長い下りでちょっと問題はあったものの深刻な状態にはならずにすみました。

身内のことで恐縮ですが、留守中たいへんお世話になったカミさんの両親と二人の妹夫妻には本当に感謝です。
この場を借りてお礼を言わせてください。
ありがとうございました。

旅行の記録はまた別途。
完稿まではまた長くなりそうです。

写真はシャモニーのたそがれ。モンブランをバックに。午後9時を過ぎてもこの明るさ。イタリアとスイスの山の登山でしたが、今回もなぜかフランスのシャモニーがベース。
北八ヶ岳雪上散歩 2013 Part 2
北八ヶ岳雪上散歩 2013 Part 2
5月6日は茶臼山、縞枯山を経由して北横岳ヒュッテへ。

天気は良好。
ただ風が強い。
ロープウェーの駅構内の休憩所で早めのお昼の休憩。

縞枯山を下ったところでクランポンを外して結局北横岳もクランポン無しで登った。
北横岳ヒュッテの上はちょっと滑りやすかったけれど、気温が上がって雪が緩んでいることもあってクランポン無しでもなんとかOK。
北横岳の頂上は風が強い。
昨日は東天狗の上がほぼ無風だったのにえらい違い。
早々に引き揚げて今日のお泊りの北横岳ヒュッテへ。
時間がたっぷりあったので、おやつをつまみながらコーヒーをいただいたり、お茶を飲んだり…。
ここは「岳」の単行本がずらっと揃っているので、何冊か読ませてもらった。

夕食は今回もサクラ肉のスキヤキ。このヒュッテに泊る大きな理由がコレ。
カミさんは小食なので二人でこのボリュームをこなすのはちょっと大変。今回はビールも飲まずにひたすら食べた。満腹。大満足。

7日は僕らにしては少し早めに起きて例によって自炊。6:30に出発。
この時間だと雪面は凍っているのでクランポン装着。
クランポンは坪庭でいったん外したけれど、縞枯山の登りで再び装着。
昨日通って来た縞枯山、茶臼山を経て麦草ヒュッテへ。
クランポンはどこかで脱ぐかと思っていたのだけれど、朝時間が早いうちに通過したので雪面が固く、結局、麦草峠直前まで履いていた。

気温が低かったこともあって思いのほかピッチが上がり、麦草ヒュッテ到着は9:20。北横岳ヒュッテから麦草ヒュッテまで約2時間50分。これは僕らにとっては新記録。
麦草で山菜そばなどをいただいてゆっくりしてから帰途についた。

写真は1枚目が茶臼山の登り口にある凍った池の上をちょっと恨めしそうに(?)歩くカモくんたち。
2枚目は北横岳頂上で。風が強い。



北八ヶ岳雪上散歩 2013 Part 1
北八ヶ岳雪上散歩 2013 Part 1
北八ヶ岳雪上散歩 2013 Part 1
もうかなり時間がたってしまったのですが、ゴールデンウィークの終わりに北八ヶ岳に行ってきましたので、記録に残しておこうと思います。

5月4日に麦草ヒュッテに入って2泊、5月6日に北横岳ヒュッテに泊り、7日に麦草ヒュッテまで戻ったのち帰宅しました。

4日は相模湖手前で渋滞にあったため、麦草ヒュッテへの到着が遅れ、ちょっと吹雪いていたこともあって丸山までの往復のみ。

5日は丸山、高見石小屋、中山を経由して天狗岳へ。
昨年、この時期に来たときには天候に恵まれなかったこともあって天狗岳は頂上直下で引き返したのですが、今年は最高の天気に恵まれました。
東天狗の頂上は風もなく穏やかで、360度のパノラマを楽しむことができました。
今年は万全を期してアイスアックスも持参。急な雪原は気を使いましたが、気持ちよく登ることができました。
帰りは黒百合ヒュッテに寄っておでんなどもいただき、麦草ヒュッテに戻りました。

写真は最初が天狗岳の登りにかかるところで。
アイスアックスを持っていっぱしのアルピニスト?
アイスアックスの持ち方はフランス流で、バンドなどは用いない、ピックは進行方向に向けて持つ。

2枚目は東天狗岳の頂上で、赤岳、阿弥陀岳をバックに。
3枚目は帰り道から東天狗(左)と西天狗を振り返って。

Monte Rosa - Epilogue

2012年10月12日 旅行
Monte Rosa - Epilogue
Monte Rosaの旅行記を書き終えてほっとしています。

書き終えるのにあまりにも長くかかりすぎました。
Monte Rosaから帰ってきてから僕は2週間以上不調が続きました。
胃腸の調子も悪かったり、微熱があるような気がしたり…
結局疲れだったのか…今でもよくわかりません。

それと8月から9月にかけて結構多くのことがあって…
特に予定外だったのはクルマの車検で修理のためとんでもない金額がかかるということがわかって結局クルマを買い替えることになったこと。
もっと長く乗るつもりだったのに…
このことでかなりバタバタとして時間を取られました。

そんなこんなでblogが途切れがちになって自分自身どうなることかと思いましたが一段落ついてよかったと思っています。

そうそう、モンブランの立体地図ですが、到着するのに1週間くらいかかると言われていたのですが結局4日ほどで無事我が家に到着。
さすがスイスのポストオフィス。
成田の税関に別送品として申告していたので税関もすんなりパスしたようです。
しかも幸いにしてダメージはありませんでした。 
ジュネーブのポストオフィスのおばさんに感謝です。

最後に今回のMonte Rosa Trekkingの写真などをロレンツォがビデオにしてくれたのでそのURLを以下に載せておきます。

http://www.youtube.com/watch?feature=player_embedded&v=k3IGsAbyWKM

写真はBalmenhornのキリスト像の前でみんなと撮ったものです。
残念ながら撮ってくれたマークは写真に写っていません。
 
Chamonix Day6   7月23日(月)

今日はChamonixでの実質的な最終日明日は朝早く発ってGenevaから帰国の途に就く。
僕の体調は相変わらず良くないので、午前中はお土産の買物に行って、午後は荷づくりとリラックス。
実は帰ってからしばらくしてから振り返ってもこの日何をしたかの記憶はほとんどない。
だいたいの荷造りをした後、ベッドの上でトロトロしていたんじゃないかと思う。

ホテルに帰るとAlpy Bus からの伝言があったとフロントから電話があった。
明朝のピックアップ時間が1時間早まって6時になったとのこと。
念のため、Alpy Busに電話して確認する。
この1時間早まったことが、結果的にちょっと幸いした。世の中何があるかわからない。

夕食もおなかの調子が戻らないので、ヘビーな料理は避けて僕はローカルなレストランでトウフのパスタ。
元気なカミさんはトリのソテー。


Chamonix Day7   7月24日(火)

今日はジュネーブから帰国する。
Alpy Busはほぼ定刻にホテルに迎えに来てくれた。
梱包状態で100cm四方以上の立体地図も何とか乗せてもらった。
でも僕が座席で支えていることになった。

ジュネーブまでは順調。ドライバーにわずかだけれど余分に渡して、カートに大きな荷物を乗せてチェックインカウンターへ。
ここでハプニング。
British Airways(BA)ではこの立体地図のサイズの荷物は受け付けられないというのだ。
Extra Moneyは払うからと言っても、オートマチックの運搬ゲートを通れないからだめだとのこと。
スーパーバイザーを呼んでもらって交渉したが、どうしてもダメ。
カーゴ会社があるから向こうのカウンターに行ってそこで別便で送るように手配しろとのこと。
う~ん、困った。

しょうがないので、言われたようにカーゴ会社のカウンターに行くが、朝まだ早いためにカウンターは無人。
うろうろしていると、先ほどのBAの係員が通りかかって別のカウンターがさらに向こうにあることを教えてくれた。
それでやっとそこに行って荷物をお願いするとウチでは扱えない、下のフロアのPost OfficeかUPSへ行けと言う。
タライまわしモードになってきた。
体調が悪いのでかなりめげる。カートを押して移動するのもしんどいのだ。

それでも、可能性を求めて階下へ。
そこでウロウロしていると先ほどのBAのスーパーバイザーが通りかかったので事情を説明すると、Post Officeの場所を教えてくれた。
やっとの思いでPost Officeのカウンターへ。
係のおばさんが荷物の寸法と重さを測ってくれる。
着荷までは1週間くらい、150スイスフランかかると言う。
かなり高い。立体地図と額を合わせた値段に近い。
でも、他に方法はないのでお願いすることにする。
支払はクレジットカードではだめで現金だけしか受け付けないと言われる。
仕方ないので、両替に行く。
最初、クレジットカードで現金を得ようとするが、自動支払機でうまく受け付けてくれない。
理由がわからない。
結局、虎の子の日本円を両替することにする。
何とかスイスフランを調達してPost Officeに戻った。取扱注意でお願いしたけれどなんとも心もとない。
ダメージなく受け取る確率は50%くらいかもしれない。最悪の事態を覚悟する。
もう、搭乗まであまり時間がないし、選択の余地はないのだ。

何とか荷物を依頼できてほっとする。
やっと手荷物検査のゲートへ。
でも、もう一つやることがある。
Tax Refund。つまりシャモニーで登山靴を買った時の税金を戻してもらうための申請書の提出。
申請書の受け付け窓口に行くが、誰もいなくて、誰もいない場合にはAmerican Expressの窓口に行けというサインボードがある。
American Expressの窓口にいくと、この書類には審査官のハンコが必要だと言われる。
階下に行けとのこと。
ここでもタライまわしモード。

階下に行くとゲートがあって、そこをいったん出るしかないらしい。手荷物検査を受ける前のエリアだ。
何とかTaxの係官のカウンターまでたどりついて、書類へのハンコをお願いするが、買ったものを見せろと言われる。
Tax Refundは昔、出張で旅をした時に申請したことがあったが、最近ぜんぜんやったことがなかったので順序を理解していなかった。
すでにチェックイン済みだと話したら、係官は本当はここで確認しなければだめなんだけどと言いながらハンコをついてくれた。
ありがとう。

何とか書類は揃ったが、今度はさっきのAmerican Expressの窓口に戻るのに一苦労。
再び手荷物検査を受けてぐるぐる道に迷いながらたどりついた。
書類を見せたら、買ったお店がくれた封筒に入れてポストに投函しろと言われる。
ヤレヤレ、何とか終わった。
搭乗時間にも何とか間に合った。Alpy Busが最初の予定通りの時間だったら、ここまでできなかったと思う。
ラッキーだったと思わなくては。

ここから先は順調。ヒースローを経由して成田へ。
24日(水)の朝、成田到着。
成田から最寄り駅までちょうどよい時間の直行バスがあったのでラッキーだった。
とにかく疲れた。
長い1日(2日?)だった。

Monte Rosa - Chamonix Day5 (Lac d’Emmosson)
Monte Rosa - Chamonix Day5 (Lac d’Emmosson)
Monte Rosa - Chamonix Day5 (Lac d’Emmosson)
7月22日(日)

今日はハイキングのガイドブックを参考にフランスとスイスの国境にあるダム湖 Lac d’Emosson (エモッソン湖)からBel Oiseau(2628m)という山の頂上までハイキングしようと思ったのだが…

シャモニーの駅から鉄道でLe Chatelardという駅に行けばそこから登山鉄道などを乗り継いでエモッソン湖まで行けるらしい。
シャモニーの宿泊客がもらえる鉄道がタダになるチケットを利用できるはず。
ところが朝シャモニーの駅まで行ったらどうも様子がおかしい。
ホームに誰もいないし…
駅の窓口の係の女性に聞いたら今日は電車が走っていないとのこと。
代わりのバスに乗れという。
事故でも起きたのと聞いたら一言"Works"。つまり定期点検だか何かの作業のため動いていないらしい。

駅前で途方に暮れていたらやがてバスが2台止まった。後ろのバスのドライバーにLe Chatelardに行きたいと言ったら、前のバスに乗れと言う。
カミさんとあわてて前のバスに乗り込む。
観光バスみたいな座席の立派なバス。
このバスが電車の時刻表通りに鉄道の各駅に止まっていくらしい。

バスはシャモニー谷を走って最後にLe Chatelard Frontier(つまりシャトランド前)へ。Le Chatelardのひとつ前の駅なのだが、ここが終点のようでみんなここで下された。
ドライバーにLe Chatelardに行きたいと言ったらあの電車に乗れと言って指差した。ここからは電車が動いているらしい。
あとでよく考えたらわかったのだけれど、Le Chatelard Frontierはフランス、スイスの国境の町。フランス側の電車はお休みなのだが、スイス側の電車は動いていたのだ。
スイスに行く人たちは既に電車に乗り込んでいる。
僕らもあわてて乗り込んだ。
次の駅、Le Chatelardで降りたのだが、そこは無人駅。僕らの他には数人が降りただけ。後から思うとシャモニーでもらったサービス・チケットはスイスで利用できるわけではないので、ちゃんと電車のチケットを買って乗らなければいけなかったはず。無賃乗車は見つかったら何倍ものペナルティを払わなくちゃいけないのだが…よくわからなかったし、チケットを買う時間もなかったと思う。ゴメンナサイ。

ここからFunicularと呼ばれる急坂を登る登山電車(日本語ではケーブルカー)、そこからトラバースするトロッコ電車、Mini Funicという名前の小さなケーブルカーを乗り継いで登るとエモッソン湖のダムの上にでる。
展望台からはモンブランやドリュー、ヴェルト、シャルドネなどの山々が見える。

Bel Oiseauへのハイキングコースは湖の右岸の長い作業用のトンネルをくぐって湖岸を歩く。しばらく歩くと大きな石の上に書かれた登山口を示す標識がある。
でも、この日も僕の体調が最悪で、歩くと胸が苦しくなって足が進まない。
結局この登山口を確認したところで、大休止してパンなどを口にしてから引き返すことにした。
カミさんにはちょっと上まで偵察してきてもらった。
なかなかよさそうなハイキングコースだったのに残念だ。

エモッソンの展望台まで戻るとその駐車場にクラシックカーが並んでいたのにはびっくりした。クラシックカーの愛好家のミーティングがあったらしい。
ここまでクルマで来ることもできるのでクルマの人は結構高い登山電車代を節約できる。もっともクルマで来ても下の駐車場にクルマを置いてわざわざ味のあるケーブルカーなどを利用する人もいるようだ。

景色を楽しんでから来たルートをたどってLe Chatelardの駅まで降りた。
駅には自動販売機があったので、今度はちゃんと払おうと思ったのだが、どうもやり方がわからない。だいたい僕はスイスフランを持っていなくてユーロだけ。
駅にいるファミリーに聞いたらその中の若い娘さんがイギリスにいたことがあるということで英語をしゃべってくれた。
結局、彼女が持っていたスイスフランでチケットを買ってくれた。僕の手持ちの小銭のユーロを代わりに彼女に渡したのだが、キリのいいお札しかとってくれなかった。それではちょっと足りなかったのだが…お互い様だからというようなことを言ってくれて…感謝。

夕食は相変わらず僕の体調が悪く困ったけれどCHEZ YANG(雪国)という中華レストランへ。
牛肉の細切り炒めは味が濃すぎてちょっと閉口。

写真は1枚目がシャモニーの街からの朝のモンブラン。
2枚目はエモッソンこの前で。バックはモンブラン。
3枚目はかわいいMini Funic。





Monte Rosa - Chamonix Day4 (Le Prarion)
Monte Rosa - Chamonix Day4 (Le Prarion)
7月21日(土)

再びホテル・デラルべで迎える朝。
曇り。モンブランの頂上は見えない。

今日はシャモニー・バレーの西の端Le Prarion(レ・プラリオン 1969m)に行くことにしたのだが…
晴れていればモンブランを違った角度から見られる展望ポイントらしいのだけれどこれではちょっと厳しいかも。
天気の崩れが心配だったので、まず、昨日立体地図を買ったお店にその地図を受け取りに行くことにした。
カミさんと二人で数百メートル離れたホテルまで運んだ。
重くはないが、持ちにくいので、えっちらおっちら。

それから、ホテル近くの土曜の市で賑わう広場のバス停からLe Houches(レ・ズーシュ)までバス。終点から少し歩いてレ・プラリオン展望台行きのゴンドラ・リフトの駅へ。
曇っているのでお客さんは少ない。
僕ら以外にはマウンテンバイクのお客さんが少し。

リフトで登ってもやはりモンブランの山頂は望めない。
僕の体調は相変わらずよくない。
多少熱っぽい。
これではホントにゆっくり歩くのがやっと。
でも、お茶を飲んだ後、やはりレ・プラリオンまでは歩いていくことにした。
この体調ではカミさんのペースについていくことができないのでゆっくり歩いてもらって20分ほど歩いただろうか、何とか頂上到着。
体調が良ければ歩いてレ・ズーシュまで下るのだけれどとても無理。
来た道を帰ることにした。

夕食は僕の調子があまりにも悪いので、Low Fat Foodを…ということでホテル近くの日本食レストラン"Sat*uki"へ。
シャモニーは3回目だけどここには初めて入った。
僕は天ぷらうどん。カミさんは蕎麦が売り切れということでしょうがなくワカメうどん。
うどんのつゆは関東風でもなく関西風でもないその中間くらい。何とも中途半端。えび天は…確かにえび天ではありますねという程度。クオリティは駅の立ち食い蕎麦屋並みか。まあ、シャモニーなのでしょうがないのかも。
うどんが好きではないカミさんはえらく不機嫌。
特に和食を好まないカミさんにとってはここでは食べるものがない。
カミさんはこの後しばらく機嫌が直らなかった。

シャモニーで日本食が食べられるというのが、ここの最大のメリットなのでしょうが…悪いけれど僕らの好みには合わなかった。
おまけにクレジットカードで払おうとしたら、慣れない日本人スタッフがこのカードは使えないという始末。結局、後で読み取り機の使い方が間違っていたことがわかったのだが。
たぶん2度とここに来ることはないでしょう。


写真は1枚目がレ・プラリオン頂上から見たシャモニー・バレー。
2枚目はシャモニーで買ったシャモニー周辺ハイキングのガイドブック。これは結構参考になりました。





Monte Rosa - Chamonix Day3 (Shopping)
Monte Rosa - Chamonix Day3 (Shopping)
Monte Rosa - Chamonix Day3 (Shopping)
7月20日(金)

ホテル・ファウチニーの朝。
疲れていたのでゆっくり起きた。
今日はショッピングなどでゆっくり過ごすことにした。
このホテルには焼いたベーコンなどもある。ちょっぴりうれしい。

昨日、マークにホテル・デラルベに寄ってもらって預けておいた荷物をこのホテルまで持ってきた。
今日からはまたホテル・デラルベに戻るので全荷物を持って移動しなければならない。
結局、カミさんと二人で500mほどの距離を2往復して運ぶことになった。

今日のショッピングの目玉は立体地図と登山靴。

まずは地図。駅前通りの山の写真を扱うお店へ。
一昨年、シャモニーに来たときに欲しかったモンブランの立体地図。
僕らにとってはちょっと高価なものだったのでそのときには買う踏ん切りがつかなかった。
薄いプラスチックで成型されていて、高級感はないのだけれど、僕らが歩いたコースがとてもわかりやすい。
前に見たものとはちょっと違うかもしれないけれど今回も目立つ場所に展示されている。
今年の初めにインターネット上のUSの地図屋さんで見つけて注文したのと同じもの。注文後、一向に入荷の見込みがないのであきらめかけていたそのものがここにある。
かなり幅広の素朴な仕上げの木製の額に収まっている。
なかなかおしゃれでいいのだけれど、部屋に飾るためには額の幅はもっと狭くないと場所が限られてしまいそうだ。
お店のお姉さんにもっと幅の狭い額はないのと聞いたら注文制作で3週間くらいかかるとのこと。
しかも、海外には発送できないとのことでどうもこの選択肢はボツ。
カミさんは幅の広い額がいたく気に入ったようでこれがいいと言い張るし…
玄関のところだったら何とか飾れそうなので、結局この額と一緒に購入する方向に傾いたのだけれど、問題はどうやってこの100cm四方もありそうな荷物を日本に持って帰るか。
お店のお姉さんは前にスウェーデンの人がジュネーブの空港から持ち帰ったという。そのときは25ユーロのExtra Chargeで済んだのだとか。
そのくらいならば、問題なさそう…ここからジュネーブまで、そして成田から自宅まではちょっと手がかかるかもしれないが何とかなるだろうということで購入することに決めた。
カミさんはゴキゲン。
でも、これが後で大変なことになるのだけれど…
梱包のために少し時間がかかるので今日の夕方以降に取りに来るということを約束してお店を後にした。

次に向かったのはシティ・センター近くの大きな某スポーツショップ。
僕のLa SportivaのTrango Sという3(4?)シーズン・ブーツがかなり痛んできたので同じブーツを買い換えたい。
このブーツ、足首のサポートがあるのにもかかわらず足首が比較的自由に曲がるので歩きやすくて僕のお気に入り。
平地でもストレスなく歩ける。
ソールは硬く後ろのコバがあるので、セミ・オートのクランポンが装着可能。
丹沢で履くのにはオーバークオリティなのだけれど軽くできているし、歩き安いので僕は塔の岳に行くのもコレ。
左足が外反母趾気味で足の親指を深く曲げて長時間歩くと痛みが出る僕の足にはソールが硬くて指が曲がらないこの靴は救世主。
問題はそのお値段で、日本ではお店によって多少の差はあるけれど38000円くらいのプライスタグが付いている。
ところが、シャモニーのこのお店では209ユーロ。1ユーロ100円を切っている今の円高の状況ではすごく魅力的なお値段。
しかもこの金額はVAT、つまり消費税込み。フランスのVATは20%に近いのでTAX Refundを受ければ、日本の半額以下になりそう。
日本での売価が高すぎるということなのかもしれないけれど。
カミさんも同じブーツを履いていて、底がかなり磨り減ってきているので一緒に買うことになった。

それとやはり同じブランドのトレラン・シューズを1足づつ購入。これは日本での価格の半額ということはないけれどやはりかなり割安感がある。
これは普段のトレーニング用。

僕の体調はよくない。食欲もあまりない。
昼はツアーの残りのフランスパンとチーズで済ませた。
夜はビッグマックとスーパーで買った野菜サラダとリンゴとバナナ。
サラダを食べるのにホテル・デラルべのフロントでフォークを借りたのだけれど、フロントのおばさんはイタリア人でフォークがなかなか通じなかった。イタリア語を何とか思い出して、フォルケッタと言ったら通じたのでちょっと笑ってしまった。僕のフォークの発音が悪かったのかおばさんの聞き取りのせいか??

ちなみにイタリア語でスプーンはクッキアーヨ、ナイフはコルテッロ、これは思い出せなかったのでおばさんに教えてもらった。使わないとすぐに忘れてしまう。困ったものだ。

写真は1枚目がモンブランの立体地図。
我が家の玄関に無事鎮座。こうなるまでが大変だったのだけれど、その話はまた後で。
2枚目と3枚目はシャモニーで買った登山靴。
僕は今までと同じイエローのが欲しかったんだけれどレッドしかなかった。
Monte Rosa - Haute Route Epilogue2
Monte Rosa - Haute Route Epilogue2
ほとんど僕の備忘録としての意味しかないかもしれないけれど、僕ら以外の参加者、ロレンツォとホセ・マリアのことについても少し書いておこうと思う。

ロレンツォは30台後半くらいだと思う。ルックスはもう少し上に見えるけれど…
学校の先生をしている奥さんと3歳の娘さんとでスペインのマヨルカ島に住んでいるとのこと。
彼自身は今失職中らしい。
マヨルカ島は地中海に浮かぶ観光地だけれど、彼自身はどうも山の方が好きなのかどうか…
彼は今回クレバスに落ちかけたが、モンブランでもクレバスに2回落ちそうになったとのこと。カミさんによると”僕はちょっと体重が重めだから”と言っていたとか。
陽気なスパニッシュで英語がうまい。

ホセ・マリアはラテン系にしては珍しく寡黙でちょっとシャイな感じ。
歳は40台半ばくらいか。
英語はほとんどしゃべれないので彼とはコミュニケーションが難しい。
彼はバルセロナに住んでいる。僕がバルセロナについて唯一知っていることと言えばサッカーのことなので、それをきっかけに少し話ができた。
バルセロナと言えばスーパースターたちの個人技もさることながら、昨年末のクラブ・ワールドカップでのブラジルのサントス戦でで見せた華麗なパスまわし、チームワークなので…すごいよねというようなことを話したのだけれど。
身振り手振り、僕は多少のイタリア語を交えて…
ちょっと話しただけでも彼はやさしくて人が好いことがすぐわかる。

彼らのおかげで楽しい山岳ツアーができた。
感謝。

写真は1枚目が7月19日(木)、このツアーの最終日のマルゲリータ・ハットから下ってきたところで。ロレンツォ(左)とホセ・マリア。
2枚目はさらに下ったところのグレンツ氷河のクレバス。

Monte Rosa - Haute Route Epilogue
Monte Rosa - Haute Route Epilogue
Monte Rosa - Haute Route Epilogue
5日間のモンテローザ・オートルート・トレッキングについて今まで書ききれなかったことについてメモしておこうと思う。

今回のトレッキングはかなりきつかった。
モンブランに登った時よりも大変だったと思う。
モンブランの時はきつかったのは登頂したその日だけだったのだけれど、今回は5日間それぞれの負荷が大きかった。
特に1日目はケーブルカーが動いていないというアクシデントがあり、3日目には雪面のコンディションが悪くて、リスカム・パッソを越えられないというトラブルがあったためにこの2日は非常にきつかった。
また、風が強くてナイフ・リッジ上や傾斜の急な場所ではかなりの緊張を強いられたこともその要因になったと思う。

3500mから4500mくらいの氷河歩きは厳しかったけれど、景観は素晴らしかったし貴重な体験ができたと思う。
ナイフ・リッジの下りやクレバスに落ちそうになったことは今思い返すと怖いと思うのだけれど、その時は夢中だったので怖さを感じる暇がなかった。
最後まで安全に下ってこれたのは山岳ガイドのマークのおかげ。
本当に感謝。

今回、4日泊った山小屋は全部イタリアの小屋。
なので、マークのホームページではこの5日間ののツアーにスパゲッティ・ツアーというニックネームを付けている。
日本からのツアーにはこれらの山小屋に泊るような企画はないようなので、日本人は極めて少ないと思われる。
僕らはこれらの山小屋では日本人には会わなかった。
僕は数年前まで少しイタリア語を勉強していたので、忘れかけていたイタリア語の練習をすることができた。
ただでさえ珍しい日本人がちょっとイタリア語を話すと結構受ける。
どこでイタリア語を習ったんだみたいな質問をよく受けた。
スペイン語を話すスペインからの二人やマークにとってはイタリア語は方言みたいなものなので、彼らはイタリア人の話す内容の半分くらいは理解できるらしい。
でも、正しいイタリア語を話すことができるかというとそうではないらしい。
マークはニフェッティ・ハット(Gnifetti hut) をグニフェッティと言っていたくらいだから。
僕にはとても彼らほどのイタリア語の理解力はないのだけれど、イタリア語を習っていたので簡単なことであれば文法的に正しいイタリア語をしゃべることができる。
ニフェッティ・ハットでの夕食では最初に出されたカレー・ポタージュスープが好評で僕らのテーブルに出された大きなボウルはすぐに空になってしまった。僕ももっとお代わりが欲しかったし、皆もそうみたいだったので、僕が大きなボウルを抱えて小屋のスタッフのところに行ってお代わりのお願いをすることにした。
"Posso avere ..."つまり"Can I have ..."と言いかけたところでノリのいいイタリア人のお姉さんは"Celto"("Of course")と言ってボウルを受け取ってくれた。
こんな簡単なことでも通じるとうれしい。
その後、皆からそそのかされてパスタのお代わりまでお願いする羽目になったのだが…。

このツアーの後、僕は体調を崩してヘロヘロ状態になり、それが帰国してからも長く続いたのだけれど、カミさんはいたって元気だった。
今回マークはパルスオキシメーターを持っていた。
昨年のネパールトレッキングで皆から指摘を受けて新しく購入したらしい。
このパルスオキシメーターの数値が一番よかったのがカミさんで、いつも90くらいあった。
マークより高かったので、マークはカミさんに明日はガイドして欲しいなんて冗談言ってたくらい。
恐るべし、カミさん。
僕はといえば2日目の朝の数値は70台でどうなるかと思ったけれど次の日からは80台になり何とか持ち直した。

楽しかったけれど大変だった今回の山岳ツアー。
日本に戻ってからも僕の体調は2週間以上も元に戻らなかった。ちょっとつらかった。
こんなことは初めて。
次のことはしばらく考えられない。
もし、この次行くとしたらもう少し楽なコースにしたいと思っているのだけれど…

写真は最初が3日目の迂回ルートを示す地図。
Sella hutからリフトの駅Colle Bettaforcaまで恐ろしいハイキングコースを下り、そこからリフトやゴンドラを乗り継いでStafalへ。
StafalからゴンドラでGabiet経由してPasso Salatiへ。
さらにそこからケーブルカーでIndrenまで。
Indrenからはフットパスと雪交じりの道をGnifetti hutまで歩いた。

2枚目は4日目、Ludwigshöheの頂上から見た下山ルート。左奥の大きな山はリスカム。
3枚目は5日目、Monte Rosa hutへの下りで、左奥に雲でちょっと隠れたマッターホルン、中央奥にゴルナーグラード氷河を望む。
Monte Rosa - Haute Route Day 5-2
Monte Rosa - Haute Route Day 5-2
Monte Rosa - Haute Route Day 5-2
7月19日(木)の続き

モンテローザ・ハットでマークにお願いして、僕らの今日のシャモニーでのお宿を電話予約してもらった。
明日以降は僕らの常宿のホテル・デラルべがとれたのだけれど、今晩は満室とのこと。
彼はホテル・デラルべから紹介された二つのホテルの内、少し上等の方のホテルを予約してくれた。感謝。

ここでピクニックするというアイデアもあったけれど、テラスは風が強いし、結局ツェルマットまで下ってから何か食べようということになった。

モンテローザ・ハットからゴルナーグラード登山鉄道の駅、ローテンボーデンまでは一般のハイキング・ルートなのだが、ゴルナーグラード氷河の横断はなかなか大変。
小屋からしばらくモレーンを下って氷河に下りる。
マークはここはクランポン無しで大丈夫ということでそのまま歩きはじめる。
大きく口を開けたクレバスだらけのルート。
ところどころに道標があるので、大きくルートを外れることはないが、どこを渡ればいいんだろうかという場所が点在。
ここはほとんどの人がガイド無しで歩くようだが、僕にはこんなところをガイド無しで歩ける自信があまりない。

途中、両側がクレバスで大きく口を開けている幅の狭いところを通るのにクランポンを着けることになった。
氷河の状態は年々、あるいはその時期によって大きく変わるのでガイドとしてもその状況に応じて対応することになるのだろう。
素人ではどこが危険個所なのかを判断することが難しい。

氷河の横断が最後の方になると氷河上には土や砂がかぶさっていたり、上から落ちてきた大きな岩などがある起伏に富んだ場所になる。
氷の下りのポイントでマークは危険を察知して、上からロープで確保しながらひとりづつ降ろす。
確かに足元は非常に滑りやすい状態だった。
こういう判断は僕らには無理。

最後は長い梯子でフットパスに出るのだが、マークはこの梯子でもロープを使ってカミさんを確保してくれた。
腕の力がないと大変かもしれないということで…。
僕にもロープがいるか聞いてくれたけれど、さすがにそれは遠慮させていただいた。

その後はだらだら登りのフットパス。途中、マークが鳥か何かを指さして皆の注意を引いたところで僕はよそ見をして石につまづいた。
地面に膝をついて状態が前のめりになったところで、バックパックが見事に重しとなって僕は頭を地面に打ちつけた。
なんとも恥ずかしい。マークが心配して頭にできたコブを見てくれたけれど…。
やはりかなり疲れてきたみたいだ。
この辺から僕の体調は一気に下り坂になったようだ。

ローテンボーデンの駅ではちょうど待ち合わせがよくすぐに電車が来た。
空いている。日本人の観光客の団体もいない。
この電車は停車する駅に近づくたびにアナウンスが入るのだが…ドイツ語、フランス語、イタリア語、ここまではスイスの公用語だから普通。
その後、英語。これも国際的なDefact Standardだからまあそんなところだと思うが、最後に日本語のアナウンスがあるのにはびっくり。
マークやロレンツォにこれ日本語、すごいだろと言うと笑っていた。
スペイン語じゃなくて日本語。いかに日本人の観光客が多いかということだろう。

ツェルマットの駅でテッシェへ行く電車を待つ間にスーパーで食料の買い出し。
僕は皆の荷物の留守番をして買い出しはカミさんに任せた。
みんながサンドイッチみたいなものを買ってきたのに対し、カミさんが買ってきたのは大きなサラダのパックふたつとリンゴ。
野菜好きのカミさんが山で十分食べられなかったのでこうなったようだ。
サラダパックにはドレッシングとプラスチックのフォークがついていてそのまま食べられる。
これは結構おいしかった。

電車をテッシェで降りて行きと同様、マークのクルマに乗り換えてシャモニーまで送ってもらった。
ホセ・マリアは彼が住んでいるバルセロナからクルマでシャモニーまで来ている。
彼がクルマを停めている駐車場が一番手前だったので彼が最初に降りた。
この時、ロレンツォに僕らのフィットネス・レベルがもう少し上だったら、もっと多くのピークに登れたかもしれないのに申し訳なく思っている旨を伝えたのだが…
彼は僕らは一つのチームとして行動したので全然そんな風に思ってないと言ってくれた。
彼はホセ・マリアにも僕がそんな風に言っていることをスペイン語で伝えてくれたようで、ホセ・マリアからも一緒にトレッキングを楽しめてよかったというメッセ―ジをもらった。
うれしかった。

ロレンツォとも別れた後で、マークは最後に僕らの今日のホテル、シティ・センターにあるHotel Le Faucigny(ホテル・ファウチニー?このホテルの名前うまく発音できません)で下してくれた。
結局、期待していたグラン・パラディソ方面の天気予報もよくないので、今回のトレッキングはこれで終わりになった。ちょっぴりほっとした。
彼からはハイキング情報を少しもらったのでこの後はのんびりシャモニー周辺のハイキングを楽しむことになると思う。

今回もマークには大変お世話になってしまった。
お礼を言い、チップを少し多めに(僕らにとってなのでこれが本当に多かったのか少なかったのかはよくわかりませんが…)渡して別れた。

シャワーを浴びた後、ホテルのフロントのお兄さんのお勧めのイタリアンのお店、L’Impossibleで食事をした。僕が食欲がいまいちなので軽い食事にしたいと言ったらここを薦めてくれた。
この名前、英語でThe Impossibleの意味だろう。どうしようもないやつのことを指す単語なので、笑いながらこんな名前の店で大丈夫?と聞いたのだが、彼も笑っているばかり。
でも、ここのお店なかなかおしゃれでおいしかった。オーガニックなイタリア創作料理の店という感じ。
僕の体調が下り坂で、あまり食べられそうもなかったので、パスタとスープなどで軽く済ませたが…体調の良い時にメインを食べてみたい。

写真は1枚目がグレンツ氷河で。
2枚目はモンテローザ・ハットを目指して。
3枚目はモンテローザ・ハットのテラスで。


Monte Rosa - Haute Route Day 5-1
Monte Rosa - Haute Route Day 5-1
Monte Rosa - Haute Route Day 5-1
7月19日(木)

結局、今後の天気予報が変わらなかったためにロレンツォとホセ・マリアも今日、山を下りることになった。

朝、マルゲリータ・ハットの外はすごい強風。
ここではゴーグルを使うべきだった。
下りは急な斜面のトラバース。とにかく風が強いので飛ばされないように一歩一歩慎重に下る。
予定ではZumsteinspitze(ツムスピッツェ 4563m)に登るはずだったのだが、強風のためマークは危険と判断、このまま降りることになった。

傾斜が緩んだところまで降りると風も弱まった。
左にリスカムを見ながら長いGrenz Gletscher(グレンツ氷河)を下る。
氷河はフランス語ではGlacier、ドイツ語ではGletscher、イタリア語ではGhiacciaioと言うようだ。ここはスイスのドイツ語圏なのでこの名前になる。

遠くにマッターホルンとゴルナー氷河が見える。
グレンツ氷河は下るにしたがって大きなクレバスだらけになる。
ルートを間違えると、スタックしかねない。
こんなクレバスだらけのところは初めてなのでちょっと緊張する。

やがてモレーンになり、クランポンを外してしばらく歩いたところでMonte Rosa hut(モンテローザ・ハット)に到着。
インターネット上で見ていた石造りの小屋とは全く異なる、ソーラーパネル張の近代的で斬新なデザインの小屋なのでびっくりした。
3年ほど前に建て替えられたようだ。
トイレを使わせてもらったが、ほとんどホテル並みのきれいさ。
中のレストランで各自コーラやコーヒーなどを摂って一休み。

写真は下り始めから見えたマッターホルン。南東面なのでツェルマットからの姿とはちょっと異なる。
2枚目はやはりマッターホルンをバックに。
3枚目はグレンツ氷河のクレバス帯。なかなか写真ではその迫力がうまく伝わらないけれど…
Monte Rosa - Haute Route Day 4-2
Monte Rosa - Haute Route Day 4-2
Monte Rosa - Haute Route Day 4-2
7月18日(水)の続き

バルメンホルンの次に登ったのはLudwigshöhe(ルドビクスホッヘ 4341m)。
僕らはここもバックパックをデポして登った。
スキーを持って登っている人たちがいた。
頂上からすごい壁を滑り降りていく人がいる。
マークに最大斜度を聞いたら50度という回答。信じられない。
ちょっとエッジを引っかけ損なったら下まで落ちる。
滑り落ちるというよりほとんど落下するというイメージ。恐ろしい。

もうひとつ、Parrotspitze(パロスピッツェ 4432m)にも登ろうとして途中まで行ったのだけれど、マークが先に凍ったところがあって危険と判断したために引き返すことになった。
ちょっと残念。

最後に今日の宿泊地、Margarita hut(マルゲリータ・ハット)のあるSignalkuppe(シグナルクッペ 4559m)を目指す。
シグナルクッペは別名(たぶんイタリア名)、Gnifetti(ニフェッティ)。
つまり昨日泊まった小屋の名前。
マルゲリータ・ハットはアルプスで1番高い山小屋。
登るに従って風が強くなる。
最後の部分はかなりの急斜面のトラバースなので神経を使う。
風で飛ばされないようにアイスアックスで確保しながら一歩一歩進む。
後で聞いたらカミさんはこの登りが結構大変だったようだ。
腕の力のないカミさんにとってはアイスアックスを深く刺しながら進むのがつらかったみたいだ。

頂上では風がひどく、すぐに小屋の中に避難したため結局写真を撮り忘れた。
結果的にここが今回のトレッキングの最高地点だったのだけれど…。
何も証拠写真がない。残念。

写真は最初がルドビクスホッヘの頂上で。後ろの山はリスカム。
2枚目はルドビクスホッヘの頂上から。真ん中、やや右寄りのピークはCorno Nero(コルノ・ネッロ 4322m)、残念ながらこのピークには登れなかった。
後方の山はビンセント・ピラミド。

3枚目はシグナルクッペに向かう途中で。自然の作った氷雪の造形がお見事。


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